その日寝坊する理由は前日にある。
昨日の夜は、ちょっと寝たくなかった。失恋なんてそんなもんか、と少しあきらめたため息をついていたら日をまたいでいた。
そして朝寝坊をして、適当に朝食を掻き込み、走って学校に来て、舟を漕ぐ五時限の今に至る。
 
適当にノートをとり、先生の話を右から左に流す。
机の上に散らばる消しゴムのカスを集めるという動作によりギリギリ起きている状態である。
本当に眠い。昨日早く寝ればよかった、と小さな後悔をするたびに意識が朦朧とする。
 
「おい!高槻!」
先生に体をべしっと軽く叩かれ起こされる。
「あ、すいません」
なんとなくぼんやりと焦点を合わせて謝ると
「寝る子は育つっていうのはお前のための言葉だな」
と、嫌味を言われた。
 
確かに身長は不自由なくにょきにょきと伸びた。
平均身長を優に超え、今では人より少し高めの身長をキープしている。
そういえば、この間のボロボロスニーカーの人結構身長高かったなぁ、とはっと思い出した。まぁ、自分の方が高かったのだけど。
 
そんなことを考えるうち、後半のノートは真っ白でチャイムが時間の経過を教えた。
しょうもないことを考える、五時限目はやっぱり眠い。
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